■ とびひ(伝染性膿痂疹) | 更新日: 2009/7/1(水) |
1;とびひとは 皮膚の浅い部分に水疱(水ぶくれ)や膿疱(膿をもった水ぶくれ)ができる病気で、細菌が感染してこのような状態になるものをいいます。水疱の中には細菌が多く存在しますので、この細菌に接触することにより次々とひろがり、他人にも伝染します。その様子が火の粉が飛び散って火事が広がるさまに似ているので俗に『とびひ』と呼ばれています。 主に高温多湿で発汗が多く皮膚も不潔になりやすい夏に、幼児(1〜6歳)におこりやすい病気ですが、最近の環境の変化、例えば冬でも暖房がゆきとどいていて室温が下がらないことや地球の温暖化などの影響で冬でもみられることがあります。まれですが小学生や成人もかかることがあります。 また、アトピー性皮膚炎、虫刺され、あせも、小さな外傷など皮膚に損傷のあることろに細菌は付きやすく好発します。 2;原因となる細菌 黄色ブドウ球菌と連鎖球菌ですが、多くはブドウ球菌が原因です。 3;症状と経過 初めは小さな水疱ができ、次第に大きくなり膿疱となります。かゆみがあり破れやすく、やぶれるとじくじくしてその後かさぶた(痂皮)ができます。その間新しい水疱が次々と増えます。次第に乾燥していき全体の経過は2〜3週間位といわれています。 連鎖球菌の場合、治った後まれですが急性腎炎を起こすことがあり注意が必要です。 4;診察、検査など 症状から診断は容易なことが多いのですが、時に様々な水疱症との区別が必要になることもあります。診断が難しい場合、治療に対する反応が悪い場合には、水疱や膿疱の内容の検査(細菌培養など)が必要になります。 5;治療 とびひが軽いものでは皮膚の処置(局所療法といいます)だけで充分なこともありますが、感染の拡大を防ぐことができるという理由から抗生物質の内服(全身療法といいます)を併用します。そうかなと思ったら早めに受診してください。 ●局所療法 まず、石鹸をよく泡立てて丁寧に洗って、流水できれいに流して下さい。以前はとびひの部分を消毒していましたが、ほとんど必要ありません。その後、抗生物質含有の外用剤(例えばアクアチム軟膏)を塗布します。外用は基本的には1日2回で1週間程度です。ステロイド剤を併用することもあります。その上を何かで覆うことはまずしませんが、場合によってはガーゼや包帯で覆います。 ●全身療法 抗生物質を5日から1週間程度内服します。かゆみが強い時には、かゆみ止めの抗ヒスタミン剤なども内服してもらうことがあります。 治療開始後は、3日頃を目安に再受診していただき、治療の効果を確認いたします。 6;一般的注意および予防 入浴;とびひが軽い段階では入浴してもかまいませんが、兄弟との一緒の入浴は避けましょう。とびひの範囲が広かったりじくじくしている場合には、シャワーで汗を流すようにしましょう。清潔を保つために石鹸は使って、泡でそっとやさしく洗ってよく流します。その後は処方された外用剤を使用して下さい。 幼稚園や保育園などの集団生活;幼稚園や保育園によって決められているところもあるようですので、それぞれの園の先生に相談してみましょう。一般的にはじくじくが多い間は休ませたほうがよいですが、乾燥し始めれば登園はさしつかえありません。プールはじくじくする間は休み、乾燥してからにしましょう。 その他;水疱や膿疱のある部分やじくじくしている所を掻いたり触ったりしてはいけません。爪をよく切り、手をこまめに洗うようにしましょう。 予防;日頃から皮膚の清潔に心がけ、汗をこまめに洗い流し、また爪をよく切り手の清潔にも注意しましょう。虫刺されを掻き壊したりしないように、また皮膚の小さな傷に細菌が付かないように早期から治療しましょう。
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