■ 水いぼ(伝染性軟属腫) | 更新日: 2009/7/1(水) |
1;水いぼとは 皮膚に痛みのない白っぽいいぼができる病気で、ウイルスの皮膚への直接感染で起こります。俗に『水いぼ』と呼ばれています。 小児、特に幼児・学童期のこどもによく見られます。アトピー性皮膚炎、乾燥性皮膚である児に多いようです。水泳が始まるということで、夏に医療機関を受診することが多いですが、実際には一年中を通して見られます。 感染力はそれほど強くないのですが、家族内、保育園、幼稚園などの集団生活や、プールあるいはお風呂などで皮膚から皮膚へと直接に接触感染します。 潜伏期(感染してから症状がでるまでの間)は、14日から50日といわれています。 2;原因となるウイルス ポックスウイルス科に属する伝染性軟属腫ウイルスが原因です。 3;症状と経過 多くは胸部、腹部、背部、四肢にみられ、小さいものは直径1〜2mmで、十分に発育したものは直径4〜5mmとなり、円形か半球状に盛り上がっています。中央に臍のような小さな凹みがあり、光沢のある正常皮膚色からやや赤味のある柔らかいいぼです。中には白色の粥状物質が入っています。自家接種により多発する傾向にあります。自然に治るまでに、長い例で2年から3年かかるといわれます。 4;診察、検査など 症状から容易に診断は可能です。 5;治療 最も一般的で確実な方法は、それぞれのいぼの内容物を取り除くことで、ピンセットを使ってつまみ取ります。わずかに出血しますが、軽く圧迫しておけば止ります。あまりに小さいいぼはつまむのが難しいことがあり、このような場合はもう少し大きくなってから改めて取ることもあります。取った後は清潔を心がけて下さい。自然にきれいになります。場合によっては消毒液で消毒し、念のため細菌が感染しないように抗生物質含有軟膏を塗り、時にガーゼや絆創膏をあてることがあります。取った日の入浴は普段通りでかまいません。 しかしながら、この方法はつまみ取る時にかなりの痛みを伴うため、いぼがたくさんある場合や泣いて暴れる場合には全部取ることが難しいことがあります。 また、水いぼには潜伏期がありますので、1度取ってもまた出てくることもあり、繰り返し治療が必要なこともあります。 このつまみ取る方法以外に、イソジン液・スピール膏法、硝酸銀ペースト法、液体窒素による凍結療法、などがあり、皮膚科を紹介させていただくこともあります。 さて、この水いぼは自然に治る(数カ月から1年以上かかることが多い)ものであり放置して様子をみるという選択もできます。しかし、伝染性があるため多発して全身に広がる恐れ、また他人へうつし迷惑を及ぼす恐れもあるため、できるならば数の少ない間に受診し取り除くほうがよいでしょう。 6;予防法 家族間(兄弟姉妹間)での感染予防はなかなか難しいですが、1人の水いぼに気付いたらほかの子に感染する前に早期に治療することが望ましいです。一緒の入浴を避ける程度の注意はしておきましょう。 アトピー性皮膚炎のこどもでは、かゆみのため掻き壊した傷からの感染が多いため、とくにプールに入る際には、アトピー性皮膚炎の治療をしっかり行っておくことが望ましいです。 プールに入る場合には、プールから出た後にシャワーをよく浴びて、体を十分に洗い流すとよいでしょう。 いずれにしろ、感染している人との接触を避けることが、感染や拡大を最小限に防ぐことになります。
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