坂ノ市こどもクリニック−大分県大分市・小児科一般診療・予防接種・乳児健診
坂ノ市こどもクリニック
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■ 小児用肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンの接種再開にあたって
更新日: 2011/5/17(火)
下記は「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会 の会員である大阪市の福田先生が公表されている文章です。大変参考になる資料ですので、どうぞお読みになって同時接種への理解を深めて下さるようお願い申し上げます。

小児用肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンの接種再開にあたって  
2011.5.1 福田弥一郎@(医)福田診療所

ヒブワクチン(Hib)と小児用肺炎球菌ワクチン(PCV7)は平成23年4月1日より再開となりました。厚労省は、これらのワクチン接種と今回の一連の死亡事例とは直接の因果関係はないという結論を出したのですが、まだまだ不安をお持ちの方も多いでしょうから、以下、皆様の参考となりそうな事実や当院の考え方などを紹介します。

まず、世界での現状からみて、事実として確かなことを説明します。
(1)Hibは1990年代前半から20年以上、PCV7は2000年から10年以上、世界中で接種が行われています。世界中
で、Hibは2億人以上、PCV7も何千万人に接種されています。基本的に両方とも安全なワクチンと位置付け
られています。ただし、PCV7では接種後に腫れたり熱が出たりすることはよくあります。
(2)米国ではPCV7導入後2年間で3150万の接種が行われ、117人が接種後に死亡しましたが、ワクチン接種が
原因と確定したケースは無く、その後も普通に接種が継続されています。他の国にも同様の調査があり結
論も同じです。
(3)一方、これらの菌によって起こる病気としては、たとえば髄膜炎では、日本で年間ヒブによって600人、
肺炎球菌では200人が発症しています。その内50%はO歳で、80%は2歳未満で発症しています。また、全体
の1割程度のお子さんが命を落とし、2〜3割のお子さんが重い後遺症で苦しんでいます。また別の病気で
すが、当院福田診療所でも昨年だけで2例の肺炎球菌菌血症を経験しています。
(4)この二つのワクチンで、それらの病気がほぼ完全に防げることが証明されています。
(5)また、同時接種については、HibとPCV7の同時接種は10年以上世界中で実施されています。更に、他の
ワクチンの同時接種も世界中で普通に行われています。というよりも実は、同時接種を広く行っていない
国は世界中でほとんど日本だけ、というのが実状です
(6)世界的には同時接種は、米国で70年代から行われるようになり85年には推奨勧告が出ています。95年に
はWHOから「現在、予防接種拡大計画で使用されている全てのワクチンは同時接種しても安全かつ効果が
ある」として積極的に推奨され、米国では更に02年の勧告で「個人が受けるべき全てのワクチンが同時接
種されることは極めて重要」とされました。現在、先進国でも途上国でも世界中で普通に広く同時接種が
実施されています。
(7)実例を挙げると、生後2〜6ヵ月頃のワクチン接種では、例えば、アメリカでは8種類の同時接種(Hib、PCV、
三種混合、ポリオ、B型肝炎、ロタウイルス)が、台湾では(米国の8種類に加えて無莢膜型インフルエンザ
桿菌の計)9種類の同時接種が、実施されています。

以上の事だけでもこれらのワクチンの接種をするには十分な説明となるでしょう。実際、厚労省はこれらを理由に接種再開の決定をしたのです。
【同時接種の副反応の事を…】
複数ワクチンの同時接種を行った場合、取りあえず、副反応の頻度は増えます。まず、副反応の頻度は、同時接種を行った場合も各々のワクチン単独接種で起こると基本的に変わらないとされています。その場合、複数を同時に打つのですから、副反応が生じる確率はそれぞれのワクチンの場合の足し算となるはずです。例えば、Aワクチンで10人に一人熱が出て、Bワクチンで10人に一人腫れが出るとします。この二つを同時に接種すると、10人に二人が副反応を起こすわけです。この例では取りあえずは2倍の確率ですね。3種類を同時に打てば、もっと増えるはずです。でも、現実にはそんなには増えません。ご安心ください。
その理由は、接種後にたまたま起こる紛れ込み事故(本当はワクチンとは全く無関係だが、続けて生じたため一見すると因果関係有りに見える有害な事象)の確率は、接種回数が減る分、半分以下に減るからです。あるワクチンを打ってその後の1週間で熱が出たりその他何か有害な事が偶然起きる確率は、二つのワクチンを別々に打てば2週間分の可能性があり、二つを同時に接種すれば1週間分の可能性だけとなります。ですから、3つ同時に接種すれば偶然の有害事象の発生は1/3に減るわけです。数多くまとめて一度に打った方が紛れ込み事故は減るということですね。
最後に、副反応が出た場合の被害救済についてですが、公費接種と自費のワクチンを同時に接種した場合には、自費ワクチンのみの単独接種にした場合に比べて、万が一の場合の救済額が大きくなります。これは法律上の仕組みとしてそうなっているものです。つまり、万が一の時には同時接種をしていた方が安心と言えますね。
ただし、子どもの泣き声は同時接種の方が大きくなる様な・・・(~_~;)


★あるお母さんからの質問:その1★
【Q】ワクチン接種直後の死亡なら、その死亡原因はワクチンじゃあないの?
【A】実は因果関係の判断はとても難しいのです。たとえば、我が国では乳児突然死症候群(SDS)という病気で年間150人以上の普通に健康な乳児が突然死しています。この一つの病気だけで概ね2日に一人の健康乳児の突然死があるわけです。公費接種が始まって2〜3ケ月経ちますが、その間にも全国でこの病気は発生しており、当然のことながら、ワクチン接種後のお子さんにも発生します。今回の死亡原因はこのSIDSだった可能性があります。本当にそうかどうかはもちろん分かりませんが、この病気の頻度からみて充分にあり得ることでしょう。もしそうだとすれば、今回の出来事は大変不幸な偶然の重なり、ワクチンにとっては「無実の罪」ということになります。実際、左上の(2)に書いたように、今回のようなケースは世界中で報告されていますが、詳細に検討するとSIDSやその他の疾患での偶然の死亡だろうと結論されているのです。

★あるお母さんからの質問:その2★
【Q】因果関係が無いと言われても、今後も本当に大丈夫なのか、やはり心配です。
【A】お気持ちはよくわかりますが、仮に万が一、今回の件がワクチンと因果関係があったとしても(本当に仮の話ですよ)、ワクチンで命を落とすお子さんより、ワクチンをせずに髄膜炎になって命を落としたり後遺症が残ったりするお子さんの方がずっと多いのは間違いありません。と言うことは、「多分あまりたいしたことがないワクチンの危険性」と、「既にはっきりしている、ワクチンを打たずに髄膜炎にかかる危険性」の両方をはかりにかけて…、さて、貴方はどちらを選びますか?

 
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