■ 子宮頸がんワクチンについて | 更新日: 2010/4/7(水) |
大分大学医学部小児科学講座 是松 聖悟先生の許可を頂き、下記「子宮頸癌予防ワクチン」について、掲載いたします。 皆様の子宮頸がんへの関心がより深まり、予防としてワクチン接種をしてくださることを願っています。
「子宮頸癌予防ワクチン」
大分大学 地域医療・小児科分野 教授 是松聖悟 先生
子宮癌は、婦人科領域で、乳癌に次いで多い癌です。20-30歳代の癌としては、乳癌よりも多く発生しています。日本では毎年、約8,000人が子宮頸癌にかかり、うち約2,400人(つまり毎日7人)が死亡しています。その発症は20歳前から増え始め、30-40歳代でピークを迎えます。先進諸国の中でも日本の発症率は高く、その理由は2つ、@先進諸国の中でも際立って低い子宮頸癌検診受診率(日本は24%、米国は83%で、日本以外の先進国は全て60%以上)、A子宮頸癌予防ワクチンの普及の遅れ(世界100か国以上で既に導入)にあるのです。 その子宮頸癌予防ワクチンが、2009年12月に、日本でもやっと認可されました。子宮頸癌の原因は100%、ヒトパピローマウイルスとされており、そのウイルスに対するワクチンとなります。性行為によって女性の半数が25歳前までに、80%が生涯のいずれかの時期に感染し、その0.15%が感染から10年以上の年月を経て、癌化するのです。ごく初期に発見できれば切除だけで子宮を残すことは可能ですが、少しでも進行してから発見された場合、子宮を摘出してしまわねばならず、身体的、精神的な苦痛も伴います。 現在発売されているワクチンは、子宮頸癌発症の60-70%を占めるウイルスの種類をカバーしています。ワクチンの効果を最大限に発揮させるためには、sexual debut(初交)前の10歳代の「子供」のうちに接種することが推奨され、その免疫は20年以上持続するとされています。 子供に対して子宮頸癌の予防ワクチンと聞いても、すこしピンと来ないかもしれませんが、奇形児妊娠の予防となる風疹ワクチン(MRワクチンとして1歳時、就学前に2回接種で、特別措置として、あと2年間は中学1年生、高校3年生も無料接種できる)とともに、女の子には大切なワクチンだと認識ください。同ワクチンの主な副反応は、接種部位に数日残る腫れと痛みですが、それよりも3回の接種(初回、1か月後、6か月後に筋肉注射)で4-6万円の料金がかかってしまうことが痛いところです。先進各国では接種料の公費全額負担がなされており、国内でも、自治体によってはその一部の公的補助が検討されて始めていますが、まだ大分県内でそれが実現している自治体はありません。もちろん、私たち小児科医、産婦人科医は、その公的補助を国や各自治体にお願いし続けていますが、それを待っている間にも、ヒトパピローマウイルスの感染は思春期〜若い女性の中で進行していくのです。 誰しも、我が子が自分よりも先に亡くなることは想像できないと思います。「10歳代前半」に、同ワクチンの接種をご検討され、小児科を始めとする各医療機関に相談ください。そしてワクチンだけではなく、お母様ご自身も子宮頸癌検診を受け、癌を予防していく姿勢を子供たちに伝えていってください。
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